ファインマンさんの肩に乗って晴耕雨読の日々

ファインマンを読んで気付いた事そして日常生活の記録

第6章の式(6-58)について

原書及び和訳本では,第6章の式(6-58)は次のようである: $$ \displaystyle \def\mbraket#1{\mathinner{\left[#1\right]}} K^{(2)}(b,a)=\left(\frac{m}{2\pi\hbar^{2}}\right)^{2}\left(\frac{m}{2\pi i\hbar T}\right)^{3/2}\int d^{3}\mathbf{r}_c \int d^{3}\mathbf{r}_d \frac{r_{cd}+r_{ac}+r_{bd}}{r_{cd}r_{ac}r_{bd}}\\ \qquad\times\exp\mbraket{\left(\frac{im}{2\hbar T}\right)(r_{cd}+r_{ac}+r_{bd})^{2}}V(\mathbf{r}_c)V(\mathbf{r}_d) $$ ところが校訂版では,この式の右辺には因子$½$が付加されている: $$ \displaystyle \def\mbraket#1{\mathinner{\left[#1\right]}} K^{(2)}(b,a)=\frac{1}{2}\left(\frac{m}{2\pi\hbar^{2}}\right)^{2}\left(\frac{m}{2\pi i\hbar T}\right)^{3/2}\int d^{3}\mathbf{r}_c\dotsb $$ そのために校訂版では,その次の式(6-59)の第2項にも原書にはない因子$½$が挿入されている

数学の苦手な小生が苦心して計算して見たところ,結果は原書のようになった.この式(6-58)を計算するには式(6-13)を用いると思うのだが,ぼっとすると校訂版では式(6-7)を用いたのではないだろうか?.というのは,同じ$K^{(2)}(b,a)$を計算する式(6-13)と式(6-7)では因子$½$だけ異なっているからである.ファインマンは式(6-15)の前の処で次のように述べている:

式(6-7)にあった因子$½$が式(6-13)では一見省略されているように見えることに疑問を抱く読者もいるであろう.・・・

これは数学の才がない者の単なる計算ミスに依る全くの邪推で,校訂版が正しいのかも知れない.しかし挑戦して見たという事で,一応は報告をしておく事にします.「因子$½$が挿入された本当の理由」をご存知の方が居られてコメント頂けるならば幸いです.