ファインマンさんの肩に乗って晴耕雨読の日々

ファインマンを読んで気付いた事そして日常生活の記録

§7-7に於ける「時間のずれ」の議論について

先日公開したのですが再考し,以下のように 修正いたします(結局は,最初にノートにまとめたものに落ち着きました.でもまだすっきりしません.)

[1]. 式(7-119)は原書と校訂版の両者で次となっている: $$ \def\bra#1{\mathinner{\left\langle{#1}\right|}} \def\ket#1{\mathinner{\left|{#1}\right\rangle}} \def\BK#1#2{\mathinner{\left\langle{#1}\middle|#2\right\rangle}} \def\braket#1#2#3{\mathinner{\left\langle{#1}\middle|#2\middle|#3\right\rangle}} \def\mbraket#1{\mathinner{\left[{#1}\right]}} \def\lbraket#1{\mathinner{\left\{ {#1}\right\}}}\\ \begin{equation} \braket{\chi}{1}{\psi}-\braket{\chi}{1}{\psi_\delta}=\braket{\chi}{\frac{\partial S[x_{k+1},t_{k+1}; x_k,t_k]}{\partial t_k}+\frac{\hbar}{2i(t_{k+1}-t_k)}}{\psi}\frac{i\delta}{\hbar} \tag{7-119} \end{equation} $$ しかし,ここでは$\psi$を$\psi_\delta$に変更したした時の遷移要素の変化量を求めているのであるから,この式は次とすべきであろうと思う(結局は同じであるが): $$ \begin{equation} \braket{\chi}{1}{\psi_\delta}-\braket{\chi}{1}{\psi}=-\frac{i\delta}{\hbar}\braket{\chi}{\frac{\partial S[x_{k+1},t_{k+1}; x_k,t_k]}{\partial t_k}+\frac{\hbar}{2i(t_{k+1}-t_k)}}{\psi} \tag{7-119'} \end{equation} $$

[2]. 原書と校訂版の式(7-122)に於ける部分は次となっている:

Using the relation $t_\delta=t-\delta$ for all values of $t\leq t_k$, we have $$ \begin{equation} \psi(t)=\psi(t_\delta)+\delta\frac{\partial \psi}{\partial t}=\psi_\delta+\delta\frac{\partial\psi}{\partial t} \tag{7-122} \end{equation} $$ しかし,シュレディンガー方程式である式(7-124)を得るためにはこれらを次に変更することとする:

「$\psi(t_\delta)$は$\psi(t)$を$-\delta$だけ平行移動したものであるから,それらを$\psi(t_\delta)$と表すならば次の式が得られる: $$ \begin{equation} \psi_\delta=\psi(t_\delta)=\psi(t+\delta)=\psi(t)+\delta\frac{\partial \psi}{\partial t} \tag{7-122'} \end{equation} $$ これは「関数$f(t)$を$t$軸の方向に$-a$だけ平行移動した関数が$f(t+a)$と表されること」または「$\psi_\delta$は$\psi$よりも$\chi$まで遷移するまでの時間が$\delta$だけ長いこと」を用いたことになる.その後で$\delta$により1次近似しているのである.

上記のことはJ.J.Sakuraiの§1.6にある次の議論を「時間軸に用いた場合である」と見做せば分かり易いであろう:

「他の教科書ではよく「平行移動」を説明するために同等ではあるが別の方法が取られる.物理系そのものの無限小平行移動を考える代わりに,用いられる座標系を原点が逆方向に$-d\mathbf{x}^{‘}$だけ移動するように平行移動させるのである.物理的に言えばこの方法で問題にするのは,$-d\mathbf{x}^{’}$だけ移動した座標系に乗った観測者にとって「同じ状態ケット」がどのように見えるかである.この二つの方法を混同しないことが重要である.

次の図を参照されたい:

f:id:clrice9:20170814064702j:plain

[3]. 式(7-124)以降の文章は原書と校訂版の両者で次となっている:

For arbitrarily complicated actions we can find an expression for the hamiltonian ( i.e., a functional corresponding to the energy) by asking for the first-order change in the transition amplitude $\braket{\chi}{1}{\psi}$ when all times previous to $t$ are shifted by $-\delta$ and writing this change as $\braket{\chi}{H(t)}{\psi}\delta$.

しかし上記の文の最後の因子は式(7-119')から $\displaystyle{-\delta\frac{i}{\hbar}\braket{\chi}{H(t)}{\psi}}$ とすべきであると思われる.

以上ですが思い違いがあるかもしれません.疑問に思われた方はコメント頂けると有難いです.