ファインマンさんの肩に乗って晴耕雨読の日々

ファインマンを読んで気付いた事そして日常生活の記録

式(8-79)の再考察

前に書いた「式(8-78)の説明について」の中で述べた事を取り消します.その記事の中で式(8-79)を次のように修正すべきと言った: $$ \begin{equation} Q_{\alpha}=Q_{\alpha}^{C}-iQ_{\alpha}^{S} \tag{8-79'} \end{equation} $$ しかしこの修正は不要であった.その理由は,ここの「1次元結晶モデル」では基準座標$Q_{\alpha}^{C}$と$Q_{\alpha}^{S}$とは本質的に同じ基準振動モードである事を知らなかったからだ.基準座標$Q_{\alpha}^{C}$は余弦関数にそして$Q_{\alpha}^{S}$は正弦関数に相当すると見做せるが,アシュクロフト・マーミン:「固体物理の基礎」の第22章によれば「sin解は単に時間を$\pi/2\omega$だけズラしたcosine解に過ぎない」からである.ここでは「周期的境界条件」を採用しているのであるから原点は任意にずらして良いであろうし,sin関数とcos関数は同じ三角関数でただ初期位相が$\pi/2$だけズレているだけであるので上述のことはもっともである.この数学的な詳しい議論は,Wikipedia英語版の項目「nomal mode」の説明欄下にある外部リンクの次を参照すると良いであろう:

http://www.people.fas.harvard.edu/~djmorin/waves/normalmodes.pdf

このとき,運動エネルギー$T$の表現について式(8.78')に一致する結果となる: $$ \begin{align} \sum_{\alpha=0}^{\frac{1}{2}(N-1)}\dot{Q}_{\alpha}\dot{Q}_{\alpha}^{*}&=\sum_{\alpha=0}^{\frac{1}{2}(N-1)}\frac{1}{2}\left[\left(\dot{Q}_{\alpha}^{C}\right)^{2}+\left(\dot{Q}_{\alpha}^{S}\right)^{2}\right] =\sum_{\alpha=0}^{\frac{1}{2}(N-1)}\frac{1}{2}\left(\dot{Q}_{\alpha}^{C}\right)^{2}+\sum_{\alpha=0}^{\frac{1}{2}(N-1)}\frac{1}{2}\left(\dot{Q}_{\alpha}^{S}\right)^{2}\notag\\ &=\sum_{\alpha=0}^{\frac{1}{2}(N-1)}\frac{1}{2}\dot{Q}_{\alpha}^{2}+\sum_{\alpha=0}^{\frac{1}{2}(N-1)}\frac{1}{2}\dot{Q}_{\alpha}^{2} =\sum_{\alpha=0}^{\frac{1}{2}(N-1)}\frac{1}{2}\dot{Q}_{\alpha}^{2}+\sum_{\alpha=\frac{1}{2}(N+1)}^{N-1}\frac{1}{2}\dot{Q}_{\alpha}^{2}\notag\\ &=\sum_{\alpha=0}^{N-1}\frac{1}{2}\dot{Q}_{\alpha}^{2}=T \end{align} $$

また初心者が生意気な間違った記事を書いてしまった.ファインマンさんから「もう少しよく考えてみようね!」と言われているかもしれない.