表 11-1 の $E_{f}$ を Mathematica で数値計算する
次の式 (11.75)の $A$ は, その中の積分を閉じた形で行うことが出来ない: $ \def\ket#1{|#1\rangle} \def\bra#1{\langle#1|} \def\BK#1#2{\langle #1|#2\rangle} \def\BraKet#1#2#3{\langle#1|#2|#3\rangle} \def\ppdiff#1#2{\frac{\partial #1}{\partial #2}} \def\odiff#1{\frac{d}{d #1}} \def\pdiff#1{\frac{\partial}{\partial #1}} \def\Bppdiff#1#2{\frac{\partial^{2}#1}{\partial #2^{2}}} \def\Bpdiff#1{\frac{\partial^{2}}{\partial #1^{2}}} \def\mb#1{\mathbf{#1}} \def\ds#1{\mbox{${\displaystyle\strut #1}$}} $
従って式 (11.80) の基底エネルギー $E_0$ の最小値も, きちんとした数式で表すことが出来ない:
ファインマンは章末の表 11-1 で, $\alpha$ の各値に対する数値積分の結果を示している.それは T.D.Schultz がデジタルコンピュータを用いて行なったものである.これを Mathematica を用いて再現することは容易い事で, 瞬時に結果を出力してくれる:
ファインマンはまた, 色々な場合での近似的な表式を示している.例えば,
- $\alpha$ が小さい場合 ( $\alpha<5.8$ で $w=0$ の場合 )
- $\alpha$ が大きい場合 ( $\alpha>6$ で $v\gg w$ の場合 )
しかしこれらの近似式を求めることは, Mathematica を利用しても数学の素養の無い者にとっては逆に難しい事であった.
式(1) 中の積分について, Mathematica は少しの時間で次の結果を示してくれる:
しかし式(2) の方は Mathematica を用いても明示的な形を求めることは出来ず, 数値計算で確認出来ただけである.まず, ファインマンの記述に従って式 (11.75) の根号内を $\varepsilon=w/v \ll 1$ として展開して見た ( だいぶ怪しいが〜!). 途中で分母に出現する $e^{-vt}$ は, やはりファインマンの記述に従って微小量であるとして無視する近似を行なっている:
従って, 式 (11.75) の $A$ は近似的な展開により次のように書くことが出来た:
この第1番目の積分は式(1) のそれと同じである.これが $(1+2\ln 2/v)$ になることを Mathematica により明示的に示すことは出来なかった.$v$ を具体的に大きな値に設定して数値計算した両者の結果が一致することを確かめただけである:
計算の達人だったファインマンは、どのようにして求めたのだろう〜〜?
第2番目の積分もやはり Mathematica で明示的に示すことは出来なかった.PolyGamma 関数などという難しい関数が出現してしまい数学の分からない者には処理できなかったのである.
一応は, Wikipedia や以下のサイトを参考にして挑戦してみたが見事に跳ね返されてしまったのであった:
Digamma Function -- from Wolfram MathWorld
Wolfram Language & System Documentation Center
そこで, やはり $v$ に具体的な数値を与えて結果がほぼ $1$ になることを確かめることしか出来なかった:
従って, 式(4) に以上のことを代入して無理矢理にだが(〜そしてだいぶ怪しいけれど〜), 式(2) となることを示すことが出来ただけであった.
もし学生さんなどで上記のサイトなどを参考にして式(2) を明示的に示すことが出来た方が居られたら, お知らせ頂くと有難いです.