問題 3-6 の解答例
Problem 3-6
Since the free-particle lagrangian is quadratic, show that (Prob. 2-1) $ \def\ket#1{|#1\rangle} \def\bra#1{\langle#1|} \def\BK#1#2{\langle #1|#2\rangle} \def\BraKet#1#2#3{\langle#1|#2|#3\rangle} \def\ppdiff#1#2{\frac{\partial #1}{\partial #2}} \def\odiff#1{\frac{d}{d #1}} \def\pdiff#1{\frac{\partial}{\partial #1}} \def\Bppdiff#1#2{\frac{\partial^{2}#1}{\partial #2^{2}}} \def\Bpdiff#1{\frac{\partial^{2}}{\partial #1^{2}}} \def\mb#1{\mathbf{#1}} \def\ds#1{\mbox{${\displaystyle\strut #1}$}} $
and give an argument to show that $F$ can depend only on the difference $F(t_b-t_a)$.
(解答) 自由粒子の古典的運動に対する作用 $S_{c\ l}$ は, 問題 2-1 の式(2.8)より次である:
この作用は経路 $x(t)$ の2次式であるから, その経路積分は「ガウス積分」となる.よって経路積分は両端点の時刻のみに依存し, 本文の式(3.51)を用いることが出来る.そこで, 式(3.51)の $S_{c\ l}$ に式(1)を代入すれば容易に式(3.52)が得られる:
このとき,「因子 $F(t_b,t_a)$ は, 解について知られている他の性質によって決定しなければならない」.
ここでは,「核 $K(b,a)$ はプロパゲーターであって, 時間発展演算子 $\mathscr{U}(t_b,t_a)$ を用いると,
のように表せる」ことを利用することで, 因子 $F(t_b,t_a)$ の性質を考えてみよう!.
ハミルトン演算子 $H$ が時間依存しない場合, 時間発展演算子 $\mathscr{U}$ は次となる (J.J.Sakuraiなどを参照のこと):
このとき, 式(3)のプロパゲーター $K(b,a)$ は次となる:
従って,「ハミルトニアン $H$ が時間依存しない場合, プロパゲーターは時間差 $(t_b-t_a)$ だけに依存する」と言える!!.
今考えている自由粒子のハミルトニアン $H=m\dot{x}^{2}/2$ は明らかに時間依存しない.よって, 式(2)と式(5)との比較から「$F(t_b,t_a)$ は時間差 $(t_b-t_a)$ だけの関数の形 $F(t_b-t_a)$ であるべき」と言えよう.
本来ならば, 本文に述べてあるように式(2.31):$\displaystyle{K(b,a)=\int dx_c\,K(b,c)K(c,a)}$, などを利用すべきなのであろう.しかし, そうすると計算が大変であるようだ .「経路積分ゼミナール」を参照されたい.なので, ここでは姑息ながら, 量子力学から言える性質を利用した簡単な議論にしてしまった.