ファインマンさんの肩に乗って晴耕雨読の日々

ファインマンを読んで気付いた事そして日常生活の記録

一様な電荷密度を持つ球の内外の電場と電位

問題 6-9 に関連して, 霜田,近角編:「大学演習電磁気学」から, 第1章の演習問題 [9] の問題文と解答を示しておく.(ただし, ガウス単位系の方の解答を示す).


[ 問題 ] 半径 $a$ の球の内部が一様に密度 $\rho$ の電荷を持っているとき, 球の内外の電界 $E$ と電位 $\phi$ を求めよ.

( 解答 ) まず半径 $a$ の球が持つ全電荷量を $Ze$ としたとき, 電荷密度 $\rho$ は次のように表せることに注意する: $ \def\bra#1{\langle#1|} \def\ket#1{|#1\rangle} \def\BK#1#2{\langle #1|#2\rangle} \def\PKB#1#2{|#1\rangle\langle #2|} \def\BraKet#1#2#3{\langle#1|#2|#3\rangle} \def\ppdiff#1#2{\frac{\partial #1}{\partial #2}} \def\odiff#1{\frac{d}{d #1}} \def\pdiff#1{\frac{\partial}{\partial #1}} \def\Bppdiff#1#2{\frac{\partial^{2}#1}{\partial #2^{2}}} \def\Bpdiff#1{\frac{\partial^{2}}{\partial #1^{2}}} \def\mb#1{\mathbf{#1}} \def\ds#1{\mbox{${\displaystyle\strut #1}$}} \def\mfrac#1#2{\frac{#1}{#2}} \def\reverse#1{\frac{1}{#1}} $

\begin{equation} \rho\times \mfrac{4\pi}{3}a^{3} = Ze \quad\rightarrow\quad \rho=\mfrac{3Ze}{4\pi a^{3}} \label{q0} \end{equation}

電界 $E$ は球対称で, その大きさは半径 $r$ の球面 $S$ についてガウスの定理を適用して求められる.半径 $r$ の球の表面積は $4\pi r^{2}$ であり, また球体積は $4\pi r^{3}/3$ であるから, 球の半径 $a$ までの内側 $(a<r)$ では, 上式 \eqref{q0} も利用して次のように表せる:

\begin{align} &\int_S E_n dS= E\times 4\pi r^{2}=4\pi\int_V \rho\,dV=4\pi\rho\times\mfrac{4\pi}{3}r^{3},\notag\\ \therefore&\quad E=\mfrac{4\pi r}{3}\rho=\mfrac{Ze}{a^{3}} r \label{q1} \end{align}

それに対して, 球の外側 $(a<r)$ では,

\begin{align} &\int_S E_n dS= E\times 4\pi r^{2}=4\pi\int_V \rho\,dV=4\pi\rho\times\mfrac{4\pi}{3}a^{3}=4\pi Ze,\notag\\ \therefore&\quad E(r)=\mfrac{4\pi a^{3}}{3r^{2}}\rho =\mfrac{Ze}{r^{2}} \label{q2} \end{align}

次に電位 $\phi$ をその定義式から求める.球の内側 $(r<a)$ では, 式\eqref{q1} 及び式\eqref{q2} の電場 $E(r)$ を用いて次となる:

\begin{align} \phi(r)&=-\int_{\infty}^{r} E(r)\,dr = -\int_{\infty}^{a}\mfrac{Ze}{r^{2}}\,dr -\int_{a}^{r}\mfrac{Ze}{a^{3}}r\,dr\notag\\ &=Ze\left(\mfrac{1}{a}-\mfrac{1}{\infty}\right)-\mfrac{Ze}{2a^{3}}(r^{2}-a^{2})\notag\\ &=\mfrac{Ze}{2a}\left(3-\mfrac{r^{2}}{a^{2}}\right) \label{q4} \end{align}

球の外側 $(a<r)$ では, 電場 $E(r)$ に式\eqref{q2} だけを用いるだけでよいので次となる:

\begin{align} \phi(r)&=-\int_{\infty}^{r} E(r)\,dr =-\int_{\infty}^{r}\mfrac{Ze}{r^{2}}\,dr=Ze\left(\mfrac{1}{r}-\mfrac{1}{\infty}\right)\notag\\ &=\mfrac{Ze}{r} \label{q5} \end{align}

従って, 電位 $\phi(r)$ は次となる:

\begin{alignat}{2} \phi(r)&=\mfrac{Ze}{2a}\left(3-\mfrac{r^{2}}{a^{2}}\right), &\qquad & r < a \notag\\ &=\mfrac{Ze}{r}, &\qquad & r > a \label{q6} \end{alignat}

上記で求めた電場 $E(r)$ と電位 $\phi(r)$ の結果を, 横軸を$r$ としてグラフ化した概略図は次となる:

f:id:clrice9:20191121182124p:plain:w500
図 1. 電場 $E(r)$ の概形.緑線は一様な電荷密度の分布範囲を表している.ただし, グラフは問題 6-9 との関連で原点 $0$ を中心にして負方向にも描いてある.
f:id:clrice9:20191121182502p:plain:w500
図 2. 電位 $\phi(r)$ の概形. 横軸及び縦軸の目盛は, グラフが見易いようにしたことによる値なので無視するべし.