光子計数の統計に対するマンデルの公式について
前の記事に関連して参考書を調べていて気になった事柄を記しておく.
エミール・ウォルフ:「光のコヒーレンスと偏光理論」の §7. 5 光のゆらぎの光電検出に関するマンデルの理論 , の中で「マンデルの公式」が示されている.
直線偏光をした入射光が, ゆらぎのある「複素解析信号」: $ \def\ket#1{|#1\rangle} \def\bra#1{\langle#1|} \def\BK#1#2{\langle #1|#2\rangle} \def\BraKet#1#2#3{\langle#1|#2|#3\rangle} \def\ppdiff#1#2{\frac{\partial #1}{\partial #2}} \def\odiff#1{\frac{d}{d #1}} \def\pdiff#1{\frac{\partial}{\partial #1}} \def\Bppdiff#1#2{\frac{\partial^{2}#1}{\partial #2^{2}}} \def\Bpdiff#1{\frac{\partial^{2}}{\partial #1^{2}}} \def\mb#1{\mathbf{#1}} \def\ds#1{\mbox{${\displaystyle\strut #1}$}} $
によって表現されると仮定する.この光が光電検出器に入射する場合, 検出器内で電子が時間間隔 $(t,t+T)$ の範囲内で放出される確率$\,P(t)\Delta t$ は, 瞬時強度 $I(t)=V^{*}(t)V(t)$ に比例すると考えられる:
ただし $\alpha$ は光検出器の量子効率を表す定数である.このとき, $n$ 個の電子が時間間隔 $(t,t+T)$ の範囲内で放出される確率は「ポアソン分布」になる事が示される:
ただし $W(t,T)$ は, 検出器に入射する光の時間間隔 $(t,t+T)$ に渡る積分強度である:
この式(3) が「マンデルの公式」である .因みに, この式はファインマン:「量子力学と経路積分」の式 (12.1) に相当している.
この「マンデルの公式」の証明が巻末の付録に載っている.その中の式(4) をいつものように Mathematica を使って確かめようとしたのだが, 結果は少し違うようであった.ただし証明の議論には全く影響しない瑣末な事でここで敢えて指摘するべきものではない.でも一応は報告しておこうと思う.
式(4) は次のようになっている:
$\Delta t\to 0$ のとき, 上式の $1$ とカッコ $[\dotsb]$ の付いた項たちをまとめたものは, 次の左辺の指数関数の級数展開になっていることは明らかだ:
そして, 残りの項たちは $\Delta t$ について 2 次以上であるから $\Delta t\to 0$ の極限では高次の無限小として無視できる.問題はその無視できる部分の $\Delta t$ の 3 次の項についてである.残りの項たちを Mathematica で調べて見ることを, 例えば次のように行って見た:
従って, どうやらそれは次のように修正した方が良いのではと思われた ( いつもの様に間違っているかも知れないが ):
再度述べておくが, これは証明の議論には全く影響のない瑣末な問題である!!.
誰かさんの人生の問題みたいだ ?! 〜〜〜〜.