ファインマンさんの肩に乗って晴耕雨読の日々

ファインマンを読んで気付いた事そして日常生活の記録

問題 4-7 の解答例

Problem 4-7

Show that if $t_1 < t_3$, the left-hand side of Eq. (4-38) equals $K^{*}(3,1)$

$ \def\ket#1{|#1\rangle} \def\bra#1{\langle#1|} \def\BK#1#2{\langle #1|#2\rangle} \def\BraKet#1#2#3{\langle#1|#2|#3\rangle} \def\ppdiff#1#2{\frac{\partial #1}{\partial #2}} \def\odiff#1{\frac{d}{d #1}} \def\pdiff#1{\frac{\partial}{\partial #1}} \def\Bppdiff#1#2{\frac{\partial^{2}#1}{\partial #2^{2}}} \def\Bpdiff#1{\frac{\partial^{2}}{\partial #1^{2}}} \def\mb#1{\mathbf{#1}} \def\ds#1{\mbox{${\displaystyle\strut #1}$}} $ (解答) 式 (4.38) をもう一度書くならば,

\begin{equation*} \int dx_2\,K^{*}(2,1)\,K(2,3)=K(1,3),\quad (\,t_2> t_1>t_3\,) \tag{1} \end{equation*}

ここで, 単なる数字の書き換え $1 \leftrightarrow 3$ を行ってみると,

\begin{equation*} \int dx_2\,K^{*}(2,3)\,K(2,1)=K(3,1),\quad (\,t_2>t_3>t_1\,) \tag{2} \end{equation*}

さらに, 上式(2)の両辺の複素共役をとってみると,

\begin{equation*} \int dx_2\,K^{*}(2,1)\,K(2,3)=K^{*}(3,1),\quad (\,t_2 > t_3>t_1\,) \tag{3} \end{equation*}

この式(3)の左辺は式(1)の左辺に一致している.よって, $t_3>t_1$ の場合の $K^{ * }(3,1)$ は $t_1>t_3$ の場合の $K(3,1)$ に一致すると言える.換言すれば,「$t_1<t_3$ の場合, 式 (4.38) の左辺 $K(1,3)$ は $K^{ * }(1,3)$ に等しい」ことになる.

上記のことを言葉で説明してみよう.式(1)の $t_1>t_3$ の場合, 左辺は「$3$ の状態から出発して $2$ の状態にいる振幅を $1$ の状態に戻す」ことを表わしている.もしこれが $t_1<t_3$ であると,「$3$ の状態から出発し $2$ の状態を経て状態 $1$ に戻ることを表わすが, そのときの時刻 $t_1$ は $t_3$ よりも以前の時刻である」.すなわち「状態 $3$ から時間をさかのぼって状態 $1$ に戻す」ことになるのである.以上のことと, 本文の次の記述:

That is, we can say $K^{ * }(2,1)$ undoes the work of $K(1,2)$.

から, 「$t_1<t_3$ の場合の $K(1,3)$ は $K^{*}(3,1)$ に等しい」と言えるのである.下図を参照のこと.

f:id:clrice9:20181129154421p:plain:w600