ファインマンさんの肩に乗って晴耕雨読の日々

ファインマンを読んで気付いた事そして日常生活の記録

問題 2-1 の解答例

ファインマン& ヒッブス著「量子力学経路積分」には, 問題が 122 問も存在している.それらに対して, 今日から自己流に考えた解答例を順に書いて行こうと思う.

(参考) 次の問題にはその解答が, 校訂者の Daniel F. Styer 氏のホームページに Difficult points として示されているので参照されたい: 問題 2-2、問題 6-13、問題 3-10、問題 3-11、問題 8-1.

Quantum Mechanics and Path Integrals

第 1 章には問題はないので, まずは第 2 章の (問題 2-1) からである. $ \def\ket#1{|#1\rangle} \def\bra#1{\langle#1|} \def\BK#1#2{\langle #1|#2\rangle} \def\BraKet#1#2#3{\langle#1|#2|#3\rangle} \def\ppdiff#1#2{\frac{\partial #1}{\partial #2}} \def\odiff#1{\frac{d}{d #1}} \def\pdiff#1{\frac{\partial}{\partial #1}} \def\Bppdiff#1#2{\frac{\partial^{2}#1}{\partial #2^{2}}} \def\Bpdiff#1{\frac{\partial^{2}}{\partial #1^{2}}} \def\mb#1{\mathbf{#1}} \def\ds#1{\mbox{${\displaystyle\strut #1}$}} $

【 問題 2−1】 自由粒子ラグランジアンは $L=m\dot{x}^{2}/2$ である.自由粒子の古典的運動に対する作用 $S_{cl}$ が次であることを示せ:

\begin{equation} S_{cl}=\frac{m}{2}\frac{(x_b-x_a)^{2}}{t_b-t_a} \tag{2.8} \end{equation}


( 解答 ) ラグランジアン $L$ に対するラグランジュ方程式 (2.7) は次である:

\begin{equation*} \frac{d}{dt}\left( \ppdiff{L}{\dot{x}}\right) -\ppdiff{L}{x}=0 \tag{2.7} \end{equation*}

これを初期条件のもとで解けば良い:

\begin{align*} &\ppdiff{L}{\dot{x}}=\ppdiff{L}{\dot{x}}\left(\frac{m}{2}\dot{x}^{2}\right)=m\dot{x},\quad \ppdiff{L}{x}=0, \\ \rightarrow\quad &\odiff{t}\left( \ppdiff{L}{\dot{x}}\right) -\ppdiff{L}{x}=\odiff{t} m\dot{x}=0 \quad\therefore\quad \dot{x}=Const=v_0 \tag{1} \end{align*}

よって速さが一定値 $v_0$ であれば良いことが分かる.初期時刻 $t_a$ に位置 $x_a$ にあり終了時刻 $t_b$ には位置 $x_b$ にいるとするならば, その一定速度 $v_0$ は次に書けることは明らかだ:

\begin{equation*} v_0=\frac{x_b-x_a}{t_b-t_a} \tag{2} \end{equation*}

このときの古典的作用 $S_{cl}$ は式 (2.1) から求められる.よって, 次のようにして式 (2.8) が得られる:

\begin{align*} S_{cl}&=\int_{t_a}^{t_b} L\,dt=\int_{t_a}^{t_b} \frac{m}{2}\dot{x}^{2}\,dt=\int_{t_a}^{t_b} \frac{m}{2}v_{0}^{2}\,dt =\frac{m}{2}v_{0}^{2}\int_{t_a}^{t_b} dt=\frac{m}{2}v^{2}_{0}\,(t_b-t_a)\\ &=\frac{m}{2}\left(\frac{x_b-x_a}{t_b-t_a}\right)^{2}\times (t_b-t_a)\\ &=\frac{m}{2}\frac{(x_b-x_a)^{2}}{t_b-t_a} \tag{3} \end{align*}

今取り組んでいる問題には暫く答えられそうにない.ので問題 12-1 を考えながら, 同時並行で問題の解答も書いて行こう.人生いつどうなるか分からないのだから,書けるうちにやって行かないとと思うからである.問題が 100 個以上あるので, しばらくはずっと記事が書けそうだ.